[ちばびお深読み]「ちばびお」は有機JAS認証どう考えている?

まず、「ちばびお」は有機JAS認証を取得しているの?

基本的に、有機JAS認証対象の農畜産物や加工食品の場合は、認証取得をしています。一部、認証を取得するつもりがあることを前提として、「ちばびお」に仲間入りする食品もあります。

”つもり”とは、有機JAS認証対象食品であれば、有機JAS認証を取得できる栽培や加工の方法・管理を:

  • すでに行っていることが確認できる
  • または有機JAS認証を取得できるレベルの生産・加工を行う意思が確認できており、「ちばびお」運営団体に属する認証専門家の指導が入っている

ということです。

’22年春、「ちばびお」農産物と加工品からスタート!

千葉県内のスーパーなどの店舗に「ちばびお」が並び始めるのは、’22年春からです。旬の野菜、そして、千葉産のオーガニック食材の旬のおいしさを、ぎゅっとまるごと調理した加工品が、続々登場予定です。

そんな「ちばびお」フードの品質基準は:

’22年2月現在:

[農産物]

基本は、千葉県産の有機JAS認証を取得している野菜や米などの農産物に限ります。有機栽培への転換期間中作物については、有機農家を応援する為に積極的に取扱いを進めます。

[加工品]

有機JAS加工品の条件である「有機原料*95%」(*千葉県産に限らず)を満たした、または満たす見込みのある、または取り組む意思が確認されている加工品を「ちばびお」の対象とします。しかし、現在千葉県内では、有機JAS認証工場が少なく、加工食品として有機JAS認証を取得していない場合が多くなると想定されます。

主原料は、千葉県産の有機的に栽培された原料(有機JAS認証対象外の原料の場合はそれに相当する自然由来のもの)も使うことを基本とします。

副原料は調味料については、理想は千葉県産有機JAS認証取得済みが第一優先で、次に国産の有機JAS認証済みです。しかし、’22年時点では全原材料をこれらで揃えて調達することが難しいことが想定されます。そこで「ちばびお」運営団体・”有機の里づくり”千葉県団体連絡会のJAS検査員の資格を有するスペシャリストが合議し、 随時個別に判断したうえで「ちばびお」の対象とします。

有機JAS対象外:はちみつや海産物など]

「ちばびお」運営団体・”有機の里づくり”千葉県団体連絡会のJAS検査員の資格を有するスペシャリストが合議し、随時個別に判断したうえで「ちばびお」の対象とします。

最新の「ちばびお品質基準」については、お問合せ下さい

「ちばびお」は、『予防原則』に立つオーガニックの基準を前提にしながら、『つくるプロセスをオープンにすること』が安心安全の根拠だと考えています。コラム「千葉県産オーガニックってことは、要するに安心安全?」も合わせてご参照ください。

自然農法、不耕起栽培…有機JAS取得が絶対なの?

ところで、この『「ちばびお」は有機JAS認証を取得しているの?』という質問にビビッと来る方は、結構詳しい方だなと思います。

何かしらの理由や考えがあり、有機JAS認証を取得していない”無農薬・無化学肥料栽培”や”自然農法”など、一般的に環境配慮型と分類される農業に取り組んでいる生産者さんのモノは取扱いできないということ?

そんな疑問が浮かんでいませんか。

有機JAS認証取得が目的ではありません。「ちばびお」は有機JASが取得できるレベルの取り組みを、”最低限”の環境配慮だと考えているのです。詳しくは、[コラム「そもそもオーガニックって、無農薬ってこと?」]も覗いてみてください。

ホントウに、ただ有機JAS認証を取得していないだけなのか!?

農林水産省が毎年発表する有機農業白書の統計にある「有機農業」の割合の約半数以上は、公的な基準を満たしていることを証明する有機JAS認証を取得していないものの、“有機的”生産管理に取り組む農家さんを推測カウントしています。

しかし実態は、有機JASを申請しても認証が取れない農家が少なからず含まれていると考える専門家もいます。

例えば、農林水産省が、2021年に”食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立を”目指して発表した「みどりの食料システム戦略」で、環境配慮型の資材として推奨されているものに、「生分解マルチ」があります。マルチとは、雑草対策や土の温度環境を整えるためなどに使われる農業資材です。「生分解マルチ」は、従来のプラスチック製のものと違い、土壌の微生物によって分解されやすいとされています。しかし、製造工程で化学物質が使用されているという理由で、有機JAS認証では使えない資材です。

千葉県市原市オーガニック農園「ONE DROP FARM」の有機JASズッキーニ

生産・加工現場には、有機JAS認証取得のハードルがある

こういったケースを除き、取得できても取得しない理由は様々ですが、多くの農家さんに共通しているのが「費用的な問題」と、栽培記録・管理の「書類の大変さ」です。言い換えると、大変な割には、費用対効果を感じないということかもしれません。

そこで、ちばびおの運営団体である“有機の里づくり”千葉県団体連絡会では、生産者や製造業者に向けた公的助成制度などの情報提供から、行政や関係団体との連携のもと有機JAS認証取得コーディネートやサポートを充実させていきます。詳しくはお問合せ下さい

監修 武内智 ・ 水野葉子 / 編集 ちばびお編集部(薗部七緒) 

この記事を書いた人

武内 智
武内 智

外食産業に30年以上携わる。すかいらーく、個人で札幌、帯広のレストラン経営、関東で和食「濱町」「北海道」の経営を10年。ワタミの商品常務、ワタミファームを創業、全国に10ケ所の農場、牧場、乳製品工場を開設。2011年有機卸のオーガニックパートナーズ設立。2016年農地所有適格化法人(株)シェアガーデンを創業開設。1993年からNPO北海道有機認証協会に関わり副理事長兼事務局長を務める。